イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

サイン

野球の話。

娘、ベンチから出る「サイン」が理解できず困っている、

とボソリ。

 

野球を全然見ない人に説明しますと、

サインとは「バントしろ」とか「盗塁せよ」という司令を、

ベンチにいる監督やコーチが出すことです。

 

単純に「耳さわったら盗塁」とか言うんならいいんですが、

これだと簡単に相手にバレてしまいサインにならないので(笑)

わざと複雑化するんですよ。

肩、耳、ベルト、帽子のつば・・・などなど、

あちこち触った上でサインが出てます。

でも、情報量が多いと混乱してわかんなくなっちゃうんですよね、娘・・・・。

娘は身体能力は高いが頭使うのはからきしダメなんで、ちんぷんかんぷんだったらしい。

 

でも、「サインがよくわからない」と言うのもなんだか言いづらくてずっと悩んでいたそうな。

Aコーチにこのことを相談したところ、

コーチは「わからないことをわからないって言ってくれてうれしい」

「動画で撮って送ります」

と、サイン出す動きの動画を5つくらい自宅で撮影して送ってくれました!

「このほうが理解しやすいと思うから」と、

試合と同様にわざわざユニフォームまで着て!!

 

 

母ちゃんは考えていました。

娘がもし今後、野球を続けられなくなる理由があったとしたら、

それは「サインが理解できない」ということなのかなと。

中学からはそんな複雑なサインが当たり前だし、

そうなると、いくらいいプレーヤーだとしてもサインがわからないんじゃ試合で使い物になりません。

「最終的にはサインプレーのない競技に行くしか無いのかな

 相談学級にも行ってるくらいだし、ここが壁なのかも・・・・」

とも。。。

 

話は元に戻ります。

日曜日は大会だったのですが、

前日の夜に先ほどのその「サインDEクイズ」の動画をコーチが送ってくれて

何度も何度も自主的に見直す娘。

真剣です。

ジェスチャークイズのようなものなんですが、

単純なようでいて小学生にはちとむずかしい。

当日の朝も見て復習。

さらにはサインの内容も紙に書いて夜のうちにトイレにも貼りました。

そしてよく見たら・・・

「分からなかったら タイムをとる」

と、自分で漫画まで書いてた(笑)

そうだよね!わからなかったらタイムとっていいんだった。

単純に、タイムをとって「もう一度お願いします!」と叫べばいいことなんですよ。

娘はバッターボックスに立ったときに

「打たなきゃ!」と「サイン見なきゃ!」という二重のプレッシャーに苦しんでいたんですね。

 

そして何度も動画で復習したあとコーチには自分から

「本番は、ゆっくり出してくれたらわかると思います。」

と伝えることができました。

成長です!

 

そうして迎えた日曜日の本番。

ノーアウトでランナー2人出た絶好のチャンスでめぐってきた娘の打席。

思い切って振った当たりがレフト線へ大きく大きく伸びて・・・・・

地面へ落ちた!!

スタートを切ったランナーが続々と生還し、娘は電光石火で二塁へ到達。

出たーーーータイムリーツーベースヒット!!!! 一挙2点!!

もう、ベンチも親も拍手喝采で大盛り上がりですよ(笑)

そして、味方の進撃でさらに娘が生還。

ベンチに戻ってきた娘をAコーチが、まるで勇将を迎えるように

「よく打った!!!!!ナイスバッティング!!」

と、普段聞いたことのないような大喜びの声で迎えて、

娘の頭を、これでもかというくらいグリグリ撫でてくれ・・・・

私はベンチの隣でちょっと涙が出そうになりました。

普段クールであまり感情を表に出さないAコーチ。

E’sの中で、最も練習に厳しい人でもあります。

そんなコーチが手放しで褒めてくれたツーベース。

きっと、サインは『打て』だったのでしょう。

 

 

母ちゃんは思いました。

あきらめちゃいけないんだな、と。

いつも「ここで負けてたまるか」と踏ん張っていろんな苦手を克服していく娘の姿に、

少しでも「ここが壁なのかな」なんてあきらめそうになったことが恥ずかしくなりました。

そして、そんな娘の努力をちゃんとわかってくれて褒めてくれる人が周りにいるということ。

心からの感激でベンチに迎え入れてくれたAコーチの声を思い出し、

娘は幸せ者だな、と胸がいっぱいでした。

 

野球はいつも、うちの子どもたちに勝ち負け以上のことを教えてくれます。