イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』

昨日から読み始めた本。

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『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』

これ、面白いわ~~~!!

 

以前、ここにも書きましたが去年の秋に台風19号が襲ってくる前日、

ゴッホ展を見に単身で上野へ。

そのあと、藝大美術館の展示を見て、そのあと学食でご飯を食べてきました。

その時の情景を思い出しつつ読んでおります。

 

上野駅を背にし、道を挟んで右側が音楽学部、

左側が美術学部です。

ぜんぜん印象が違う、と本でも書かれていてまさにその通り。

抜けるような白いワンピースにハイヒールの学生は右側(”音校”へ)、

汚れたツナギを着ている学生は左側(”美校”へ)吸い込まれてゆく、

という記述が本の中で出てくるのですがまさにそのとおり。

数分も観察していれば、どちらの学部の学生か判別できる、

と筆者が言ってますがまさにそれです。

 

この本の筆者は、奥様が現役藝大生とのこと。

あまりにも妻の言動がオモシロイので大学に潜入取材することにして、

その結果、本ができあがったようです。

 

藝大はセンター入試も使うけど、筆者の奥さんは自己採点で3割しか取れてなかったとか書いてあり、笑いました。

音校のほうは、受験対策として週末ごとに大阪から新幹線に乗って東京までレッスンに通うような日々だそうで、

何より親のカネが生命線の様子。

藝大の先生や、元教授のレッスンを受けないと、合格は見えてこないそうです。

親が熱心な家庭が多く「3歳からおピアノ」の世界だそうです。

このあたりは想像通りですね。

また、一浪くらいはありうるけど、浪人するくらいなら私立音大へ進むとも書いてありました。

音楽は体力勝負なので、若い時分の時間を浪費できないそうです。

 

かたや美校は5浪6浪はざらで、

同学年に10歳以上年上の人がいることも多々あるとか。

それでも、受験に関しては教授とのコネは一切関係なく、

本人の才能そのものが公平に審査されるそうです。

彫刻科や染色科を見学した様子が書かれていましたが、

いやはやすごい。設備にもびっくり。

当然ですが、やっぱり美校も体力勝負。

10時間以上描いているとか、

泊まり込みで製作、とかそういう次元だそうです。

 

笑ったのは、藝大が上野動物園と柵ひとつで接していて、

それにまつわるエトセトラが秀逸なこと。

ぜひこのあたりはそれそれで読んで爆笑してほしいです。

 

まだ半分までしか読んでいませんが、

現役藝大生へのインタビューが豊富で、

本人は天才ぶりに気づいていないけど、ものすごい天才なこと多々。

あれこれマニアックすぎて仰天しますが、

そこが面白い。

 

世の中こんなありさまで、とてもじゃないが浅草・上野も遠い存在ですが、

またぜひとも藝大をふらっと訪れて、卒展など見てみたい。

そして読めば読むほど、

「どんだけ予備校通っても、藝大は雲の上」

という気がしてきます。