イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

『一瞬の風になれ』

 

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10年ほど前に、本屋大賞を受賞したというこの本。

『一瞬の風になれ』佐藤多佳子著 全3巻。

以前から気になっていたのですが、すっかり忘れていて、

小学生新聞でさらっと取り上げられていて思い出し、

古本屋で一冊98円でゲット♪

 

ちょうど一週間で読み終えました。

(ちゅーたんがお熱出したので、看病でこもりっきりで読書ばかり。)

いやあ。

いい! いい本だ!!

何度でも言います。いい本です!!

たくさんのシーンでウルっとさせられました。

 

内容を知らない方に、公式な内容紹介から引用↓

春野台高校陸上部、1年、神谷新二。スポーツ・テストで感じたあの疾走感……ただ、走りたい。天才的なスプリンター、幼なじみの連と入ったこの部活。すげえ走りを俺にもいつか。デビュー戦はもうすぐだ。「おまえらが競うようになったら、ウチはすげえチームになるよ」。青春陸上小説。

 

つまり、高校生の陸上物語なんですけれどね。

主人公は、努力しても結果がなかなか出ない不器用なタイプで、

2人きょうだいの弟なんですけれど、兄貴が天才的なサッカー選手なんです。

で、本人もサッカーで努力してきたんですがまったくダメ。

ものすごく努力しているのに、試合になると毎回プレッシャーに負けてダメ。

家族は善良なんですが、どうしても華やかな兄に目がいきがちで、

それに対してもひねくれることなく主人公が育っているところもまたいい。

幼馴なじみは自由人で、努力なんて全然しないのにものすごい結果出せるタイプ。

偏食だし、練習もいい加減だし、それでも大会になるとめちゃくちゃ速い。

主人公とは真逆ですね。

友達同士でこぼこコンビだからこその、補い合う感じもまた良く、

それでも決定的なケンカでしばらく口をきかなかったり・・・・

友達ってこういうものだよな、10代にあっては友達の存在って酸素に近いなと思いながら読みました。

当たり前にそこにあって、そこになくてはならないもの。

 

それにしても、高校生ってのはいいですね。

高校野球も好きですが、やっぱり高校生あたりのあのキラキラ感はなんでしょう。

やっぱ青春ですかね。

読んでいて自分に不思議に思ったのですが、

私自身はからきしスポーツがダメなのに、

なぜかスポーツがらみの小説は大好き。

以前もここで紹介したかもしれませんが

『雲は湧き 光あふれて』

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これも最高にいい。

高校野球を題材にした小説です。

こちらも全3巻。

余談ですがわかる人にはわかる、この表紙の画は「青空エール」の河原和音さん。

 

なんでしょうか。

スポーツ独特の、あの世界観はそこにしかないような気がします。

ひたむきさ、まっすぐさ、

その中での挫折と屈折した思い、

目標に挑戦する姿勢。

どれもこれも全然私に縁遠いもので、

これからも多分、私はスポーツはやらないはずなので無縁の世界。

自分が行くことのない世界だからこそ、夢中で読めるのかな・・・

 

まあ、高校野球に関しては、自分がプレーヤーではないにしても

現場でまざまざと悲喜こもごも見ていたので大好きなんですけれど。

高校野球のあの空気感は一生好きです。

ま、何かが好きな理由なんてわからなくてもいっか(笑)。

好きと嫌いは個人の感覚の問題ですな。

過去に児童書の名著『駅伝ランナー』も読み、これも感動しました。

最初のあたりがちょっと『一瞬の風になれ』と似ていて、

どちらが先に出版されたものなのかな~

なんて思いながらいたのですけれど、

途中でまったく別ものになりました。

いやあ、大会でのリレーシーンなんか圧巻です。

目の前で見ているような感覚でしたよ。

もっと言えば、自分が走っているかのような。

作家に「書くのがうまい」なんて言ったら叱られちゃいますが、

ほんとにうまい。

圧倒的な臨場感でした。

 

若干話がそれますが、近年に本屋大賞を受賞した

羊と鋼の森』も良かった。

映画化されましたね。

ちなみに私は原作読んだものが映像化された場合は

ぜったいに見ません。雰囲気が違いすぎてガッカリするので。

羊と鋼の森は若き調律師の奮闘する姿が良かった。

まだ読んでいない方、ぜひ。

 

本屋大賞を取る作品は、間違いなく読み応えありますね。

本はイイです。