昨日、初めてのスクーリング授業@放送大学大宮センター。
科目は書道。
書道なら単位取れるでしょ、レポートもない様子だな、
と思ってそのくらいの気持ちで申し込みしました。
全4回講座で、朝9時50分~13時5分までの2コマ。
全講座を通して今回は「隷書」という書体を学びます。
私は隷書というのはこれまで一度も書いたことがなく、
とても好きな書体なのですが、縁のない存在でした。
よく、看板や石碑などに使われる書体ですね。
堂々としていて、おおらかな感じがするので好きです。
当初のイメージでは、大学の授業ですからしかめつらしい講師の先生が来て、
きっと真面目な雰囲気なんだろうと。
いやいやどっこい。
現れた教授は冗談が上手、そして受講生を笑わせたりほめちぎったり。
そのため、受講会場の雰囲気がとても明るくて楽しい。
大橋修一先生という先生で、埼玉大学の先生だそうです。
現在は川口短期大学にいらっしゃるとか。
もちろん書道の先生ですが、子ども学科の先生でもあるということで、
きっと、普段は保育士志望の学生に接しているのかな。
女子大生を相手にしているから冗談が上手いんでしょうか(笑)。
大橋先生を紹介している埼玉大学の学者総覧を発見↓
http://s-read.saitama-u.ac.jp/researchers/pages/researcher/aNUfFNBx
実際には、ナントカ展覧会とかにばんばん出品するくらいのスゴい人らしい。
それでも、一人一人に一枚ずつ朱墨で手本を書いてくださり、コメントはこんなあんばい。
「人前でね、書かない先生ってのもいるんだよ。
あれはさ、出し惜しみじゃなく、実は書けないんだよな(笑)。
こうしてね、人前で書いて、恥も掻いて、人前で失敗するからいいんだよ~」
なんて魅力的な先生でしょう!!
書いている途中もあちこちのテーブルを回り、
「ああ、いいねえ。基本がちゃんとできてるよ」
と真面目な言葉がかかったかと思うと別の人には
「あなた、それじゃロボコップがかいた書だねえ~(笑) 肩の力抜きなさいヨ!」
と肩をポンと叩いたり。
わからないことがあるときは手を挙げていると来てくれます。
隷書は初めてで、全然うまくいかない部分があったので私も手を挙げていたら
「よし、一緒に書こう」と。
それで私は、ほんとに30年ぶりくらいに、
先生といっしょに筆をもって書くということをしてもらいました。
子どもにはよくやる指導方法で、私も、小学生が習いに来た時に筆圧などを教えるためによくやるのですが、
自分が軽く筆を持った上からさらに先生が筆を持って筆はこびを教えてくれる
二人羽織のような感じです。
大人になって筆運びを教えてもらえるなんて~。
懐かしい気持ちになりました。
ちょっと雑学ネタですが、隷書とは2千年前の中国の文字だそうです。
書体の成立の歴史は
1、篆書(篆刻につかう文字)
2、隷書
3、行書
4、草書
5、楷書
という順番なんだそうです。
書体辞典を見ても、まるで楷書がくずれていって行書や草書になったようなイメージばかりですが、
実際は違ったんですね。
なので、実は楷書は完成度が高く、一番難しいとのこと。
特に「止め」が難しいのは当然で、そりゃ小学生は苦戦するわな、ということでした。
「いいかい、2千年前の人が書いてた文字だよ?
今より時の流れもゆ~ったりしていたに違いないよ。
2千年前の人が、ギスギスしていたと思う?
ス~イって、ゆ~っくり楽しんで書いてたと思うよー
みんなもっといい加減に書きなさいよー」
ですって(笑)。
筆も各種見せて下さり、買ったら数万円しそうな珍しい筆も気軽にみんなに触らせてくれました。
「おれさ、よく豆腐買いに行くお店でさ、
”先生、ちょっと書いてほしいものがあるんだよ”って言われたから、
ああいいよ、って気軽に書いたんだよ。
はなっからお金もらおうなんて思っちゃいなかったけど、
”先生、ありがとうございました!やっぱスゴイですね!!これお礼です”
って豆腐3丁!!
俺の文字、たった豆腐3丁の価値!!」
みんな大爆笑です。
ほんとうにすごい人は、気さくなんですね。
とにかく明るいし楽しい人柄で、
「先生の授業を受けたくて、習志野から来ました」
「町田市から来ました」
なんて人もいて、その返答が
「アナタ、冗談は顔だけにしなさいよ(笑)」
「ほ~ら、また私のファンが増えちゃって!おっかけだよねえ」
ですって(笑)。
今日のシメ、と言って最後にその日一番の出来栄えのものをみんなの前で本人が持って
どこに苦戦したか、どこを意識したか、などを前に出て発表するのですが
その、「今日の一枚」を選ぶときに私は2枚のうちどっちがいいかを迷って、
「どちらがいいでしょうか、迷ってしまって」とおうかがいしたところ
「線がスッキリしてるのはこっちだな。垢抜けして見えるだろ」
と真面目にキッパリ。
言われてみて見比べればその通り。
やっぱ軽口ばっかりだけど実際すごいわこの人、と益々尊敬の念を深くしたのでした。
充実の半日でした。
これからまだあと3回も残ってるなんてワクワク。
知らない世界に飛び込んでほんと良かった。
世界は未知にあふれています。
***
夕方、帰宅してみると不意に電話が鳴り、出てみると
「**公民館のIです! 華洲さん、ペン字講座をまた公民館でやってもらいたいんです」
と聞き覚えのある声。
わお~!!
「よろこんで!!」
と居酒屋の店員のような返事をして、それこそ文字通りの二つ返事でお引き受けしたのでした。
大橋先生の姿を見て、人に教えるってこういうことなんだな、
と心から思っていたところに舞い込んだ再びの講師の話。
しかも、公民館職員のIさんは秋の異動で別の公民館に行ったとのことで、
こんどはまた違った環境での講座になりそうです。
受講生を楽しませられるように、技術もさることながら、
大橋先生の指導話術もしっかりインストールしてこようと思います。
まだまだ、私自身の内側にも、あけたことのない引き出しが無数にありそうです。
成長期だねえ。