イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

生徒さん

昨日は一日、書道講師DAYでした。

午前中は市民講座、午後は自宅裏の教室で。

 

市民講座もどんどんみなさんと顔なじみになってきて、

冗談なんかも飛び交うようになり、

場があたたまってきました。

「先生、”でんぶ”って漢字あるんですかね?」

という質問が飛びだし、

「でんぶ? 臀部?」

「いやいや、尻じゃない、たべるほう」

なんて話になって爆笑。

「寿司に入ってるやつね?! あたしゃでんぶの漢字なんて知らないですよ~

 **さん、スマホで検索してみたら?」

すかさず前の席の方も検索。

結果、でんぶは「田麩」と書くらしいとわかり、一同ナットク。

海のもの出身なのに、なんで田なのかねえ~とまた疑問。

こんな具合です。ああ可笑しい。

 

講座が回を重ねるごとに、

「手書き文字は本人を表す」というのは本当だなと感じています。

まあ実際には手書き文字が人を表すなんてことわざはないんですけれどね。

でも、受講生一人一人の文字を見ると、

その人から受ける印象とほとんど同じなのですよ。

真面目な人、

やさしい人、

豪快な人、

愉快な人、

几帳面な人、

元気な人・・・・・

一人一人、話しながら対面で添削していると、

その人の手書き文字と人柄が一致するんです。

面白いですね。

受講生の中で一番、手書き文字を苦手としていた方が昨日

「自分の名前を書くのがいつもいやだったんだけど、

 最近、そうでもなくなってきたんです」

と言ってくれ、これはほんとに嬉しかったです。

 

講座も終盤戦になり、この数回で見えてきた課題としては

せっかちな人はとめはねはらいを無視しがち、

丁寧な人は細部にこだわるあまりコンプレックスが強い、

ということでしょうか。

ここのあたりをあと3回でプラスに転じていきたいものです。

 

さて、午後来てくれた個人のお稽古の生徒さん。

初孫さんの誕生に合わせて、命名の紙を書きたいとのことで通ってくださいました。

無事に今週あたまに初孫ちゃんは誕生したとのこと。

よかったよかった!

f:id:sumire-chan:20190621131657j:plain

 

名前が3つ候補があったので3種類の手本を用意しました。

人に教えるのって、ほんとうに自分が勉強なんですよね。

とくに、「櫂」という字は日常でも使わないので、

毛筆で書いたのは初めてで上手く書けず実は何度も書き直しました。

生徒さんはとてもおしゃべり好きな方で、

私もおしゃべりは大好きなもんですから、笑ってばかりの稽古でした。

横画のとめが難しいとのことで、

半紙に漢字の「一」を何本も書いてもらいながら

「**さん、今日家に帰ってから”先生、ほんとスパルタでさ~小学生みたいな練習ばばっかさせられたよ~”とか言うんでしょ?」

「んなこと言いませんよ~。いやあ、書道も奥が深いねえ」

「**さん、筆が寝ていますよ、立ててください。手首でなく”ひじ”で書くつもりで」

「おお!ゴルフもね~、”ひじ”が大事なんですよ。手首でこねくりまわすとね、ダメなんですよねえ~書道もいっしょなんだねえ」

で、「暁」の字の最後の筆遣いを何度も何度も教えて、

「ラストは”溜め”から一気にすくいつつ払う。少し下からあおりましょうか。勢いは必要あるけれども雑にならないように、最後まで集中してください」

「溜め、ですか!ゴルフもね、溜めが大事なんですよ!ぐっと溜めて、全身のバネで飛ばすんですよねえ~素人はね、手首で飛ばそうとするから飛ばないんだよねえ」

「そうそう、多分それと同じです。手首で書かないでね。ひじで持って行ってくださいよ」

なんだか可笑しくて可笑しくて私は笑ってばかりでした。

ゴルフは全然わからないけど、万が一私がゴルフ始めることになったら今度は私が生徒になるんだな、と漠然と思いながら笑いをこらえていました。

私がゴルフをやることは一生ないだろうけど(笑)

 

本番の用紙を西松屋で何枚も買ってきた生徒さん。

2時間練習して無事に書き終えました!

「ムコどのがね、パソコン関係の仕事してるもんですから

 ”お父さん、筆のをもし全部失敗しても、すでに印刷用の命名紙を作ってありますから心配しないでくださいね”って言ってたんですよ~頭にきちゃうよねえ~(笑)」

「こんなに上手く書けたんだから、プリントアウトされないで済みますよ!

 がんばりましたね~!!」

と二人で完成の喜びをわかちあいながら墨を乾かしたのでした。

帰り際に

「本当に楽しい授業でした!ご縁に感謝します」

と言いながら玄関を出て行かれ、

”楽しい授業”と言ってもらえたことが本当にうれしかったです。

 

ご縁あって書を通じて私とかかわってくださるみなさんが、

「楽しい」と思ってくれること。

それは教える側の私にとって一番嬉しいことだな、と思った昨日でした。