滋賀県書道協会の、今月の6年生の課題。
「いろいろな線で書こう
筆以外のもので書こう
筆では書けない線で書こう」
長男、この課題を見た時に
げーーーー!と言いました。
なんでこんなことしなくちゃなんねえの?と大不評(笑)。
昨日私が自分の課題の小筆をやっていたら裏の家にふらりとやってきて、
学校の授業でやってる書写がうまく書けないから教えてほしい、と。
おや珍しい。
学校から配られたコピーじゃ参考にならないから、
手書きの手本も欲しいというので、熱心だねえと言いながら書いてやりました。
”星ふる野山”と書くらしいのですが、
「る」と「野」が難しいとのことで、
バランスを見て添削してやると、みるみるうまくなりました。
ほおおお。この子は案外、今までコツを飲み込めないでいたけど、
約半年、競書の課題をこなしているうちにずいぶん筆に慣れたな。
で、「墨も出てるんだしついでに、今月の課題書いちゃわない?」
と誘ったら、アッサリと「いいよ」。
筆以外のもので、と言われてもなあ~と言いながらも用意。
何が始まるのやら?とチビ太が見守る中、
書き始める兄。
おもしろい線が出てます!
長男も、思いがけないもので書いた思いがけない効果に
「なんじゃこりゃ~」と小さく興奮。
見事書ききりました。
いいじゃん!
秋の草の吹かれてる、茫々とした感じが伝わるよー。
おもしろい。
結局、最初いやがっていたにも関わらずかなりおもしろかったらしく
何枚も書いてました。
で、何で書いたかというと
紙ひもを切りそろえて、輪ゴムで束ねたもの。
なんじゃこりゃ~です(笑)。
母ちゃんは、長男を見ながら思いました。
筆文字は、うまくなるためにだけに書くんじゃないんだよな、と。
自分を表現するツールなんですよ。
修正のきかない、一発勝負の紙の上で、
一枚一枚、ぜんぶ違う。
そこが醍醐味なんですね。
長男はずっと、字形にこだわるあまり思いきれなくて、
大きな文字、太い文字を書くことができませんでした。
でも、ある課題では書初め用のでっかい筆を持たされ、
半紙よりでかい紙に臨書したり、
今回みたいに筆じゃないもので書かされたり、
あるときはお題がなかったり・・・・
長男にとっての無理難題を突き付けられるうちに、
自分自身の殻を打ち破りました。
楽しい気持ちが、
いきいきとした線を生み出して、最終的に書の力を伸ばすんですね。
「生き方なんて、教科書に書いてない」
とはマンガ銀の匙に出てくる校長先生の言葉。
まさに。
なんでも、手本通りにやらせようとしちゃいけないんですね。
誰にもまねできない、自分だけの書。
それは、”自分自身”をこの場では誰もが受け止めてくれる、
という安心感でもあるのだと思います。
”書を通しての人間教育”というのが滋賀県書道協会のコンセプトですが、
長男というフィルターを通してみてそれがよ~くわかったのでした。