イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

年に一度の大爆発

年に1度の大噴火。

普段は我慢していても、何気ない拍子にたがが外れて色々吹き出すこともあります。

 

昨日のこと。

大雨で外仕事ができなかった父ちゃんが、

数年分の書類を整理するとのことで珍しく事務仕事。

私は保育園パートに行っておりました。

 

どうも、私の経理が父ちゃんが思っていたものとところどころ違っていたらしい。

ここも違う、あそこも違う、と何度も言われて、少し私は腹がたっていました。

正直言って、大変な大ミスではない。

というか、意図的に操作して、経費にしたりしなかったりすることもあるのです。

それは、節税として、です。

夕方になり改めてその話になったので、

「父さん、自分でお金の計算やってみたら?」

と意地悪でなくコメント。

彼は一度も確定申告をやったことがないので、

入ったお金と出て行くお金と、

それが経費なのかそれとも別枠なのか、

きっとわからないだろうな~と思ったので、そう言ってみたところ、

それが地雷だったらしい。

「あ?!なんだよそれ、オレに全部やれってのかよ!!できるわけねえだろ、力仕事して頭まで使ったらおかしくなっちまう!」

と暴発。

ちょっと待ってくれ。

私はあくまで経理を手伝っているのであって、

年に一度の確定申告のときだけ1万円もらっているけど、

あとは全部善意なんだぜ?!と逆にびっくり。

「いやいや、一度確定申告やってみたら?という意味だよ

 全体のお金の流れもわかるじゃん。」

と落ち着いて説明するも、いちど爆発してしまったものは止められないらしく

「確定申告なんかやらなくたって、んな金の流れなんてわかってんだよ!!

 つまり経理が嫌なんだろ?!

 ハッキリしようぜ、やりたくないって正直に言えよ!!!」

とすごい剣幕。

そんなことは言ってないと何度言ってもダメ。

挙句、

「おめえ、自分の仕事入れすぎなんじゃねえか?!だから経理できねえって言ってんだろ」

とのセリフが飛び出し、これが私の地雷を踏みました。

誤解はなはだしい。

植木屋の仕事は私の事業所ではなく、当然ながら夫の事業所なのであります。

私は夫の仕事を手伝うために結婚したのではないし、

私は私で自分にあった職業を持って生活する権利はあります。

それでも、夫ができないであろう仕事はやってあげようという善意で手伝っているというのに、

それが伝わってない。

冗談じゃない。

「植木屋の仕事は父さんが好きでやってる仕事でしょ?!

 そこまで言うなら、自分の会社なんだから自分で全部やればいいじゃない。

 だいたい、私に感謝なんかしてないじゃん。

 経理やってくれてありがとう、手伝ってくれてありがとうなんて一度も言われたことないよ」

と返すと、

「一万円やってるだろうが!!

 出たよ!てめえはいっつも二言目にはそれだよ!!

 ”ありがとう”なんて、調子いいこと言えるかよ!」

 

これはきっともう、根本的な問題なんですね。

私はありがとうとごめんねは安売りタイプ。

父ちゃんは口がさけても自分からはごめんねとは言いたくないタイプ。

ありがとうなんて尻がかゆくてシャレにならないんでしょう。

でも、そういう問題じゃない。

感謝もごめんも言葉にしなけりゃ伝わらないのです。

私も自分の口が止められなくなりました。

「弁当出て来て当たり前、夕飯できてて当たり前、

 そういうのやめてくれる?!

 ありがとう、助かるよって言われなきゃこんなクソ仕事やってられっか!!」

「弁当なんざオレは自分で作るよ!ふざけんな!」

私は自分が仕事でも、自分の弁当は自分で作ります。

黙ってたって弁当出てくるなんてしあわせじゃないか!

男ってのはいいよな。仕事だけしてりゃ威張ってられるんだ。

 

 

頭に来たので涙も吹き出してきて、

私は外に出て、庭にあった古い茶色い植木鉢を片っぱしから割りました。

父ちゃんと殴り合いになるよりはるかにいい。

アスファルトに散らばった植木鉢を見るとさらに腹が立ちました。

くそっ。これ片付けるのか。

ばかみたいだと思いながらもほうきとちりとりを持ってきて自分で片付けを始めると、

涙が止まらなくなりました。

子どもみたいに大声で泣けたらどんなにスッキリするだろう・・・

そう思うと、よけいに涙が出てきます。

しゃがみこんで小さく嗚咽していると、

子どもの足音が背後からやってきて、

小さな手のひらが私の頭をわしわしをなでてくれました。

靴を見ると、ちゅーたんでした。

ちゅーたん、ありがとう。。。。

 

外遊びから帰宅した長男はなにやらどうもいつもと違う様子のわが家に驚きつつ、

刺激しないよう、様子を見守っていました。

頑固に庭に居座り家の中に入らない私にそっと近づいて

「だいじょぶ?」

と。

なんだか私が子どもになったみたい。

「お父さんとご飯食べたくないから先に食べてて・・・」

と涙声で返答すると、

「うん、・・・わかった!」

と小さくハッキリと返事をして長男は家の中に引っ込んで行きました。

 

裏の庭に出ている椅子に座りながら、暮れて行く雨上がりの空を見ていたら、

平たい雲が少しずつ動いていくのがわかりました。

落ち着いてみると、私が怒ったり泣いたりしたことも、

ぜんぶ、今日の大雨みたいなものだな、と思えてきました。

嵐のようだった「今」はもうすでに時間の中では「過去」に。

そうなると、なんだか笑えて来ました。

言うだけ言ったら私もスッキリしたし、

何より「弁当はおれが作る」と言ったんだから明日から弁当作らなくていいんだ!!

となんだか明るい気持ちに。

気を取り直して家に戻ると、子どもたちが支度したのか、夕飯はすっかりできていました。

 

普段、溜め過ぎなのかなー。

だから暴発するのかなー。

名キャッチャーでも、捕れない球はあります。

”ありがとう”のストライクよこせ!!

 

さて。今日はどんな一日になるのやら。