イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

その時にしか歌えない歌

私が風呂の扉を閉めると、居間から、何か聞いたことのある音楽が聞こえてきました。

父ちゃんが何を思ったか、夕食後に

ミスターチルドレンの「終わりなき旅」をyoutubeで聞いてたのでした。

風呂から居間まで数メートルの距離があるから歌までは聞き取れなくとも、

奏でられている伴奏の音だけで完璧に歌詞は頭の中でまわりだし、

気が付くと自分でも歌っていました。

 

前にもここで何かの折に書いたかもしれませんが、

歌の力はすごいです。

歌がかかれば、その曲を一心に聴いていた当時に戻れる。

その当時に夢中だったことや、

その当時に仲良しでつるんでいた友達の面々さえ思い出せる。

「ああ、ついにミスチルの有名なナンバーは軒並みナツメロになっちゃったのか」

と私が言ったら父ちゃんも

「そうだなあ~そうだよなあ~」

と。

しかも不思議なことに、若い頃に覚えた歌ってのは忘れない。

 

「”終わりなき旅”は、あの当時のミスチルだったから歌えたんだろうね。

 苦労する中でしか生まれない歌があるとしたら、

 それなりに地位と名声が手に入ってからではもう出せないものもあると思う。

 そこにたどり着いてみて、”やっぱり若い頃は良かった”

 って思うこともあるかもしれないし。

 その時でしか、歌えない歌ってあるだろうね。」

と私が言ったら父ちゃんも

「・・・・。おれもがんばろ。」

と言ってました。

私も父ちゃんも、当然ながら仕事に子育てに忙しく、

まさに駆け抜けるような30代を送っているわけですが

(父ちゃんはまだ前半戦、私はもう後半戦に突入だ)

「忙しい”今”が、父ちゃんも私もいちばんいいときだってことだよ」

と父ちゃんの背中をポンと叩いておきました。

”毎日くそ忙しくて話にならねえ、おれの大変さも知らねえくせに”

とでも言いたそうに鼻でわらっていましたが、

そのあと何か考える顔つきをしていました。

 

「いつかの成功」が幸せなんじゃじゃない。

「あたりまえの今日がありがたい」と自然にそう思えること、

私はそれが「しあわせ」だってことだと思ってます。

父ちゃんには、伝わったかな~。