結婚したときは、勤め人だった父ちゃんが、
長い時間をかけて職人になりました。
職業を変えながら成長していく姿をいちばんそばで見ながら、
励ましたり、落胆したり、
こちらもいろんな思いをして10年余り。
自営業になってからというもの、
それを必死で軌道に乗せることこそが私の目標であったけれど、
それは、どこかで「困っているなら助けたい」
という思いが強かったように思います。
有り難くも、年間通して直接のお客さんの仕事で回れるようになりました。
(今は仕事がないけど(笑))
今の私は、どこに目標点を定めたらいいのかわからなくて、
迷っているのかもしれません。
ということをそれとなく話したら、
「おめえは家業をわかってない。家業は家業だろ?今さらなんだ」
とのこと。
まあ、そうだ。そうかもしれない。
かと思うと、父ちゃんはさらに言葉を続け、
「家はほっとする場所なんだから、
家にまで仕事の話を持ち込んで、
夫婦で仕事の話で議論するとしたら気が休まらないからそういうのはやめたい。」
とも。
うーん、矛盾するわ。
だって、家業手伝ったら、ハイ、ハイってだけ言ってられないじゃんか。
だったら、まったく別の仕事を、私は私で持ったほうが家の中は円満な気がするけど。
「おれ一人でできない仕事だってあるだろ?
手伝い頼めなけりゃおれだって困るよ。
適当にやってくれりゃいいんだよ、手伝いなんだから。
ただ、もう少し剪定の腕あげてくんないと、
こっちも困るんだよな。」
うーーーーーん・・・・さらに矛盾するじゃないか。
家の中に仕事を持ち込みたくはない、
と言いながら、
手伝ってくれなきゃ困る、とな?
適当にやってくれればいいんだよ、
と言ってるそばから、腕上げてくれよと注文がついた・・・。
あの~・・・上を目指して努力するんだったら、
わたし、やれるとこまでやりたいんですが。
「そんなに上を目指したいってんなら、
今年の5月から松の手入れ教えるからよ。うまくなれよ。
肉体労働もほとんどないし、
どちらかと言えば頭脳プレーと手先の器用さが求められる作業だから、
おめえにはもってこいだろ。
松やれよ、松。」
松・・・・か。
上手くなってきたらまた揉めるだろうな。
家業の取り扱いに、私自身が戸惑ってます。