イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

恩師オススメの本

人は愛するに足り、真心は信ずるに足る――アフガンとの約束

アフガニスタンで亡くなられた、日本人医師・中村哲さんの本。

作家の澤地久枝さんとの対談なので、

難しい内容ではなく、

だいぶ平易な言葉で書かれていて読みやすかったです。

 

なぜ、危険なアフガニスタンに?

なぜ、お医者さんなのに用水路を?

 

私は、亡くなられた時の報道でこの中村さんという方のことを初めて知りました。

そして、上記の疑問が浮かんだのです。

恩師が「図書館が閉まっているなら、私の本棚から」

と10冊近く蔵書を貸して下さり、

その中の一冊だったのですが、

読んでみて思ったのは、

その土地、その国で暮らす人の様子はほんとうに様々で、

そのすべてが尊重されるべきもの、ということでした。

そして、まわりの考えに耳を傾けず、自分が正しい、と思うことのこわさ

のことも感じました。

 

多様性、という言葉があります。

つまり、十人十色という意味ですね。

もっとわかりやすく言えば、

”みんなちがってみんないい”。

 

10人いれば、10人考えが違ってもいい。

そういうことを受け入れられる世の中は、

それぞれが居心地がいいということ。

 

つまりは、想像力と思いやり、ということですね。

 

話は戻りますが、

中村医師は、医者として今から25年以上前に現地に入るのですが、

現場で診療を続けるうちに、大地が砂漠化し食料がとれず、

餓死者がどんどん出ること、

それにより多くの命が失われていることに直面して、

結局、医療より灌漑(かんがい)用水の工事が必須だ、

こりゃ農業土木だろ、ということになります。

誰かがやるのを待ってられない。

そんなら俺がやる、とやり始めたのがこの仕事だったということなんですね。

 

アフガニスタンの風土というのは、

ご存じの通りイスラム教に基づいた暮らしです。

 

遊牧民的な気質があり、

一人のリーダーに多くの人数が従うということがなかなかなく、

ただし、小さな単位では非常によくまとまっており、村には村の掟があると本の中で書かれていました。

中村医師は現地の人たちの暮らしをリスペクトし、

その中で、淡々と仕事を続ける、そういうスタイルを貫いていたようです。

 

アフガニスタンの砂漠化は、結局は地球温暖化が原因とのことでした。

元々は農業していたところが、干ばつによって砂漠化してしまう。

そうなると、作物が取れなくて食料がなくなってしまうわけです。

 

水がひかれ、

子どもたちがそこで水浴びして遊ぶようになり、

皮膚病が劇的に減るそうです。

もちろん、食料がとれるようになれば栄養が行き届きます。

体が丈夫になれば病気は減ります。

また、水がくることで魚(ナマズやマス)が住み着くようになり、

魚が食べられれば、タンパク源も得られます。

そういう様子を見ると、この仕事をしてよかったとつくづく思うと書かれていました。

 

残念ながら、アメリカの政治的思惑で軍事介入がなされ、

相次ぐテロ、治安の悪化、

そして”外国人”であることで命を狙われてしまったわけですが・・・・。

 

アメリカ軍が武装解除して、水路の建設やってくれたらいいんです。

 日本の自衛隊も解体して、アフガニスタンに重機ごと持ってきてくれたら

 工期が何年もにわたるこの工事はいっぺんに終わる。」

というような内容の言葉が出てくるんですが、

ほんとにそうだなーと思いました。

武力では平和は得られない。

 

本来、国連など大きな機関が本気を出してやるべきことを、

一人の医師が現地の人と協力してやったということです。

これは並大抵の熱意ではできないことです。

 

ご興味ある方は読んでみてください。