イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

なくしていいのか その3

小学校の運動会で鼓笛がなくなる件。

その後です。

 

あれから現5年生の親あてに、

学校サイドへ学年として声をあげていきたい旨、

学年委員長名義(私は今年学年委員長)でいろいろな人に連絡する活動を展開しました。

もちろん、バッシング覚悟です。

「賛否両論あると思いますが、もしも賛同してくださる場合は、私が送った文章を登校班のLINEや、なにかのグループLINEでシェアしてください」

と協力を要請して回りました。

 

「勇気を持って行動してくれて本当にありがとう、

 思い付きで発信しているんじゃないこと、伝わります!」

と心から賛同してくれ返信をくれるママもいて、感涙。

でも逆に、まったく無視されたりも多々。

蓋をあけてみれば圧倒的に、

傍観して成り行きを見守っている方たちが多いというのが現実でした。

自分の意見を持つこと、それを表明することにまったく慣れていない感じがひしひし伝わり、

賛なのか否なのかわからない、という人がほとんど。

正直なところ、もともとまとまりの悪いクラスなので(学校一、委員がやりづらいクラス、とも言われてる・・・)

多少のことは覚悟していましたが、ここまでとは、と痛感しました。

もちろん、いろんな意見がある。

それはそれでいい。

みんなが自分と同じ意見とは思わないし、

賛否両論、それでいい、

でも、このままなんの話し合いもされないまま、

50年近く続いた伝統が消えていいの?!

そんな思いの数週間でした。

 

本部役員にも掛け合い、会長にも連絡をつないでもらって

全校保護者あて意見集約のための文書を出せないか、ともお願いしました。

答えは、「NO」。

一保護者の意見を、そこまで大々的に扱うことはできない、ということでした。

一保護者ね・・・。そうだよね。

みんなが黙っていたら、ただ私一人が騒いでいるだけ、そうなるよ。ほんとに。

 

他学年では、鼓笛がなくなることを知らない親御さんも多く、

別のルートからも運動を展開。

吹奏楽部のママが、

「自分の娘がいつか演奏する日を楽しみにしてたのに・・・

 みんなで協力するよ!!!」

と言ってくれ本当に励まされました。

卒業生のママさんは

「現中学生の子たちが、自分が担当してた楽器を春休みに教えるってのはどうかな?

 それが新しい伝統になったら・・・」

とも提案してくれ、感動しました。

 

一人でできることは全部やりました。

でも、もう一人でできることはもうないな、ということを痛感していたとき

ついに学校サイドから直接私あて、連絡がきました。

「この件で、対立することはお互いにとって望まないこと、

 本来、協力すべき相手と、もめることになってしまう」

と。

「しかしながら鼓笛の存続は100%、ありません。」

それが答えでした。

 

教務主任の先生(産休中の先生に代わり、娘の担任をして下さってます)とも

30分、電話で本音で話ができました。

この先生は、本当にざっくばらんで信頼できる人。

体裁を気にせず、親や校長にもハッキリ意見し、やんちゃ坊主を呼び捨てにし(笑)、

じゃんじゃんバリバリ仕事するけれど、

それでも、子どもの気持ちを掴んで離さない、という

なんとも頼もしい先生です。

「新6年生の親御さんにも、子どもたちにも、本当に辛い思いをさせてしまって申し訳なく思っているけれど、

 どこかで、なにかを端折らないと、子どもも教員ももう時間的に限界。

 世知辛い話だけど、今後、どんどん行事の縮小化はどこの学校でもされていくと思う。

 そうでなければ、学校そのものが機能しなくなるくらい、やることが多すぎる。

 私ら、働き方改革と言われても、結局手を抜けない性分なんだよ。

 さらに、毎年文科省からわけわからない新しい制度がおりてくる。

 正直、先生たちがぶっ壊れる。」

と先生。

聞いていて、先生も気の毒だな、と素直に思いました。

いろいろ、ほんとに本音で話しました。

ただ、大人の都合で子どもから、楽しい部分ばかりを削って行くこと、

勉強ばかりさせることで、成績としてしか評価されない面が多くなること、

それでは子どもたちが本当にかわいそうだ、

と私も思っていることを話しました。

 

学校サイドとしては、

市の音楽会は県からの要請で出ていることで、断ることができないこと、

さらには他校との比較にさらされるので、手を抜くのは教員側としてはできない、

その面から考えると、学内の行事から減らすことで対応していくしかない、

ということでした。

そのかわり、もちろん市の音楽会は一生懸命指導していくし、

さらに、机の上の勉強だけにならないよう、

学校外からの出張授業みたいなお楽しみ授業はどんどん応募して来てもらうようにする、

とおっしゃっていました。

 

実際に、先日は5年生の授業で「日産ものづくりキャラバン」ということで、

栃木県上三川町の工場から日産の方が来て、出前授業してくれました。

講師の方がもともと板金工だったらしく、腕前を披露してくれたり、

ナットとボルトがたくさん詰まった箱の中から手探りだけでナットだけ数個掴みだしたりと、

職人技を見せてもらったようです。

長男も目をきらきらさせながらその話をしてくれ、

子どもたちはとても楽しかったようでした。

そういうことを増やしてあげたい、そのためには努力する、

限られた時間の中でも、それはできるから必ずやっていくよ、と先生は言ってくれました。

私はそれを信頼し、協力する以外にありません。

 

伝統は消えゆくけれど、

それはもう、諸行無常とでもいうべきか。

守れたはずのものが守れないのは、

私たち大人のせいだ、と”社会の中の大人”である自分を自覚し少し責める気持ちも感じつつ・・・・。

まだまだ、自分自身の気持ちの整理をつけるには、時間がかかりそうです。

 

この件を応援して力をくださったみなさま、

本当に、ありがとうございました!!

 

「やるだけやった」

残っているのは、それだけ。

でも、やらずに後悔するよりは良かった、と思ってます。