イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

読書に夢中

夜8時には寝てしまう私が、

本が面白すぎて眠れない。

寝床で読み始まると、あっという間に時間が過ぎてしまい、

気が付くと10時をまわっていることしばしば。

翌日はすぐに眠くなり読まずに爆睡。

でもその翌日はやっぱり読みたくて遅くなり・・・・

と繰り返しております。

それほど面白いのは『出雲の阿国有吉佐和子著)』

出雲の阿国(上) (中公文庫)

中学時代の恩師G先生が以前、蔵書の整理をされた際にお下がりでくださった箱の中に入っていて、

ものすごく分厚い上下巻で、

こりゃ読めねえなともらった当時はすぐに私もお蔵入りさせていたのですが、

こないだ鹿島に行く時に不意に持ち出してきたところ、

読み応えがあり夢中に。

出雲の阿国というひとは、歌舞伎の創始者の女性です。

この本はその生涯を描いた作品です。

 

私は、ベートーベンや土方歳三など、

無鉄砲に見えるほどにまっすぐで、

情熱で生きるようなタイプの人が好きな傾向があるのですが、

阿国もそんな一人だなと感じました。

人からの評価より、自分がどうあるべきかをつねに自分の心に思い、

そのために起きた苦労を、嘆き苦しみながらもすべて消化して力に変えてしまうような、

すごいエネルギーの持ち主が阿国なんだな、と。

 

阿国は、若くて一番美しい時期を

芸能に優れまたその実力、容貌ともにぬきんでてている男に翻弄されてしまうのですが、

この男が冷淡で野心家で、

出世欲が強く、非常に利己的な悪い人間なのです。

結局自分しか大切でない。

そんな相手に惚れたがために、とんでもない苦労をたびたび強いられるのですが

読んでいてなんともそれが痛々しくて、

現代にあってもこういう男はいるよな、と思った時に、

人間の本質というのは、中世だろうが近世だろうが、あまり変わらないものなのだな、

と感じたのでした。

 

今、ちょうど下巻の真ん中あたりで、クライマックスに向けかなり面白いところ。

若い時代を過ぎ、

時代が秀吉から家康に変わり、

偶然も相まってようやく阿国の演劇がただの踊りと唄でなく歌舞伎という形になりはじめ、

そのしょうもない男すら踏み台にして阿国がぐんぐん出世してきたところです。

さあ、このあとどうなるのかな~。

 

人間、生きることに夢中になっているときは、

なにが善でなにが悪かわからなくなるほどに行き急ぐことがあるでしょう。

生きることと死ぬことの境目すらわからないほどに濃厚な時間があったればこそ、

さらにその先、年を取りながら熟成されていくものなのでしょう。

酒やパンでいえば、それが酵母になるんですね。

 

さあ、このあとどうなるのかな。

明日には読み終わりそうです。