うちの子どもたちは、絵本作家の「かこさとし」さんが大好き。
私も、子ども時代から大好きでした。
昔の本には、「かこさとし」とひらがなでなく、
「加古里子」と書かれていたこともあり、
このひとはじつは女子なの?!
でも写真は男の人だよね?!と混乱していた子ども時代。
おとなになり子を持つ親になって、
自分が子ども時代に読んだかこさんの絵本を、
自分の子どものために紐といた時、
「タイムカプセルをあけたら子ども時代に吸っていた空気まで出てきた」
という気分になりました。
かこさんは、私が生まれたときからずっと生きていてくれて、
私の子どもが生まれたあとも生きていてくれました。
数年前に、どろぼうがっこうの続編が出て、
からすのパンやさんの続編も出て、
いちばん最初のからすのパンやさんを読むと、
子どもたちが4匹キャーキャーうるさくて、
なんだか自営業の父ちゃん母ちゃん、
わが家みたいだなと読むたびいつも思ってました。
90歳という年齢で、
それでも作品を生み出せる、
作品ももちろんのこと、
その情熱みたいなものに頭が下がる、と感じていました。
『未来のだるまちゃんへ』
という自伝が以前発売された際に、
かこさん自身のことに興味があった私はそれを読みました。
若い時分に戦争を経験し、
終戦とともに自分のすべてが、正しいと信じていたすべてが無価値になって、
自身のその深い反省から、子どもたちに捧げる人生にしようと固い決意を持ったことなどが、
かこさんのやわらかい文章で語られていました。
かこさんを知ることのできるとてもいい本でした。
その本によればかこさんは、
自分の本の購入者が、その本に入っていた「読者カード」を出版社へ送ってきた場合、
すべて読んでいたそうです。
私は今、それが悔やまれます。
一度でいいから、
自分の言葉で、かこさんへのありがとうを、かこさんに伝えていたら良かったな・・・。
そのとき私は、
「私のような”親子2代にわたってファンです”っていう読者は山ほどいるだろうし、
同じようなコメントをもらっても、しょうがないのではないかな」
などと思っていたのです。
でも、自分の言葉で、自分の手書きで、ちゃんと届ければよかった。
今となっては言えなかったアイラブユーになってしまいました。
かこさん、絵本いっぱい描いてくれてありがとう。
こんなに長く生きててくれて、
ほんとにありがとう。
長新太さんに松谷みよこさんに、
そしてかこさとしさん。
親戚のおじいさんが亡くなったようなさびしい気持ちを、
たくさんの人がいだいているのではないかな・・。