イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

バッテリー

米櫃の底が見えてきたので、

お米を精米しに、チビ太を乗せて二人で出かけました。

いつも利用する、ぶづき精米ができる近所のコイン精米。

コンビニの駐車場の一角にあります。

精米待っているあいだ、

すぐ近くの東北新幹線の線路から新幹線が見えるので、

チビ太大喜び。

 

いつも閑古鳥が鳴いているコイン精米ですが、

お盆のためか、先客が2組。

帰省の子どもに持たせるのかな~

おじいちゃんがニコニコしながら倅さんとお米を運んでいました。

気長に、車の中から新幹線でも見て待つか~~~。

と、エンジンを停めた運転席でチビ太を抱っこして遊ばせていると、

すぐ隣に停めてあった車の様子がなんか変。

その家族は、コンビニでお買い物して出発しようとしたものの・・・・

きゅるる、きゅる、きゅっ

と言ったあと車がシーンとなってしまいました。

何回やってもダメ。

あーらら、バッテリーじゃないかね?

 

おじさんが困り顔で車から降りてきてボンネットを開けました。

私も車から下りていき、

「おじさん、バッテリーあがっちゃったの?」

「う~ん、多分そうなんだよ~・・・・」

「うちの車、繋ぐ?」

「え!いいの?!!」

「いいよー。でも私、ケーブルないよ。おじさん、ある?」

がさごそ、がさごそ、トランクの荷物かき分けて探すも、見つからず。

「だめだあ、ないや・・・・。ちょっと、コンビニで聞いてくる!」

とおじさん。

私は自宅にいる父ちゃんに電話。

かくかくしかじか、うちにブースターケーブルあったっけ?

父ちゃんの返事は、NO。

そしてコンビニから走って戻ってきたおじさんの返事も、NO。

あー残念。

私の実家に電話するも、やっぱりNO。

父ちゃんが電話で、ガソリンスタンドのほうが早いよ、と言ってくれてたのでおじさんに、

「そこの、新幹線の高架の下に、ガソリンスタンド見えるでしょ、

 ま、お金かかるだろうけどあそこ行って、繋いでもらうよう頼むのがいいかもしれないよ。 おじさんち、遠いの?」

「そう・・・、千葉なんだよ。」

そうかあ~。それじゃ遠いよね。

帰省の途中なのかな~ アンラッキーだなあ。

おじさんといっしょにボンネットを覗き込むと、

ついているバッテリーに28年9月の文字。

「おじさん、バッテリーまだ1年経たないじゃん。普段、この車乗らないの?」

「乗らないんだよねえ」

「乗らないと、バッテリーってだめになっちゃうんだよね」

「え!そうなの!? そうかあ・・・・・」

そうかあ、という返答なくらいだから、ほんとに車に乗らない人なのかもしれないなあ。

その間に、おじさんのお連れ合いがJAFの存在を思い出し、電話。

何回か掛け直したら、JAFに無事つながったらしい。

「ひとまず、JAF待ちます。ほんとにありがとう」

「いや、何もできなくてかえってごめんねー」

私も残念な気持ちで、でも、精米所もあいたので、お米を精米。

精米所の機械のガラガラうるさい中でチビ太とお米の出てくる様子なんかをのぞいていたら、

あれっ?!車のエンジン音。そして、軽くふかす音!

おじさん、かかったじゃん!!

 

私は搗き上がったお米を自分の車に積み込みながら、

おじさんの車の運転席をのぞいて

「エンジン、かかったんだね!!ラッキーじゃん!!!」

嬉しい気持ちいっぱいで声をかけると、

「おかげさまで!!ほんとにありがとう!!」

笑顔が返ってきました。

「無事に帰れるようにね~~!!」

チビ太をチャイルドシートに乗せ、私は出発しながら

ひらひらと手を振って駐車場を出て行きました。

おじさんが車のクラクションを”ふぁん!”と鳴らしました。

 

家に帰って父ちゃんに、

「無事にかかったみたいだわー」

と話しました。

「ああいうのって、ちょっとだけ休ませてからまたかけると、かかるときあるんだよな。

 おれもさ、中古バイク買いたてのころ、嬉しくて遠乗りして、

 そしたら道端で故障して動けなくなったことあってさ。

 こわもてのダンプのおっちゃんが下りてきて、

 ”あんちゃん、バイク壊れちったのか”っつって、

 色んな人に、助けてもらったことあるよ。」

そう。父ちゃんは、バイクの調子悪そうにしている人を見ると、

車を停めておりていって、大丈夫ですか?

と声をかけたりする。

自分がしてもらったから、してあげたいと思うんでしょう。

「ま、自分では忘れちゃうだろうけど、相手はずっと覚えているんじゃねえの?」

そうかもしれない。

 

昼過ぎに用事があってそこのコンビニ前の道を通ったら、

おじさんの車は無事になくなっていました。

走ったんだねーよかった!