イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

伝記は嘘か?

「おかーさん、ついに黒田官兵衛読み終わったよ!」

と長男。

火の鳥文庫の黒田官兵衛を読み終わったというのです。

「おーついに!! 最後、ちゃんと長生きしてたよね、良かったよね!」

「そうそう、戦で死ななくて良かった」

と感想をシェアする私と息子。

「しかもさ、官兵衛を読むと”秀吉なんて、官兵衛いなかったらなんぼのもんじゃ”って感じじゃない?うけるよね」

と私が言うと、

「ほんとほんと、秀吉、何にもしてないじゃん(笑)」

と長男。

 

仲良く話をしていたら酔っぱらった父ちゃんが割り込んできて

「あのな、君たち一生懸命歴史について話しているけど、

 実際、あの物語が架空だったらどうする?

 実話じゃなかったらどうなんだよ?

 読んだ時間損した気分にならないか?」

つまり父ちゃんの意見はこうです。

偉人伝なんて、ほんとか嘘かわからない、

見てきたわけじゃない人が書いてるだろ、

そんなの信用していいのか、

という意見。

 

歴史本好きの私もそう言われちゃ黙ってられません。

「まあさ~、実際に見てきたわけじゃないし、

 それは仕方ないけど、

 司馬遼太郎もそうだけどさ、

 膨大な歴史資料あってこそ、あれを書いているわけだよ。

 しかも子ども相手に嘘なんか書けないし、

 少々脚色はあっても、嘘は書いてないと思うなー。

 歴史に興味持ってもらうには、偉人伝は最高だと思うけど。

 私も長男も楽しく読んでるんだから、

 興味関心を否定しないでほしいんだけど~。」

と私が意見すると、

なおも「これだから文系は」と屁理屈連ねる父ちゃん(笑)

「俺が言いたいのはなー、

 ほんとは悪役だったやつが、実は善人だったこともあるだろ、

 ってことだよ。

 そんなの、見てきた人間しかわかんねーだろ」

 

ま、それは充分あり得る。

でも、100%悪人もいないし、100%善人もいないよね(笑)

実際に今生きてる身近な人の伝記を書こうと思っても、

すごくいろんな面を書くことになるだろうし。

 

この話題がどういう展開になるのか、茶碗を片手に私と父ちゃんのやりとりを見ていた長男が

「そんなら、わかった!

 前にお母さんが言ってた。

 秀吉読んだあとに信長の本、信長のあとに、別の信長が出てくる本、

 別の本に書いてある人のこといっぱい読むといいって、

 お母さん言ってたよね。

 黒田官兵衛読んだから、おれまた秀吉読みたくなったし。」

 

長男よ、頭良いです!!

そう、つまり人物像は一方向からじゃなく、

別の角度からも見るほうが面白い、

と前に秀吉を読んだときに長男に教えたのでした。

別の作者の手で料理されると、

また違った人物像が浮かんでくるからです。

秀吉の中に伊達正宗が登場しますが、

伊達正宗の中にも秀吉が出てきます。

両方読んではじめて、

すっげーおもしろい、と思ったから長男に「ぜひ両方読め」とおすすめしたやり方。

ちなみに、武田信玄を読んだら上杉謙信も読む。

敵側から見るか、味方側から見るか、

立ち位置が変われば、正反対の側になるからです。

武田信玄も、上杉謙信も、今際の際にはお互いに対して同じようなセリフだったのが印象的! 母ちゃん思わず涙が出た)

 

かくかくしかじか、長男のおかげで、話はまるく収まったのでした(笑)

それにしても父ちゃんの、斜めから竹やりでつつくようなやり方はどうなんだ・・・。

理系脳は、すべて理屈で考えているってことなのかしら?

とふと思ったけれど聞かないことにした母ちゃんでした。

ちなみに文系母ちゃん、すべては感覚で生きております。