今、古本屋で100円で購入した司馬遼太郎の本にすっかりハマっています。
司馬遼太郎氏の本は二十歳くらいの頃から読んできましたが、
そうは言っても著書が膨大なので、
全部を読み切るってことはありませんね。
100円で1冊買えるなんて、有り難すぎます。
「竜馬がゆく」全8巻のうち6巻まできれいな状態で出ていて、
たったの100円だったので買い揃えました。
昔、図書館で借りて読んだけど、家にはなかったので。
で、今読んでいるのは「幕末」という短編集。
面白かったのは、桜田門外の変を描いたもの。
しかしながら、薩摩藩の士は2名しか加わっておらず、この二人は兄弟で、
弟は切り役であり、兄は現場を見届けたあとに超特急で京都に事変を知らせに行く役だった・・・
物語の主人公は弟のほうで、かくかくしかじか、彼の、暗殺までの日々のことなどが、
小説として丁寧に描かれています。
司馬遼太郎氏の文章は現場をまるで隣の家の窓から見ているような臨場感にあふれ、
クライマックスの井伊襲撃のシーンでは
3月3日だというのにぼたん雪が降りしきり、
その雪の上に鮮血が散らばる様子がありありと描かれ、
私まで雪の寒さと血の匂いを感じるようでした。
そうでした、若い頃も、この「現場でそれを見ているよう」な描写に、
すっかり魅せられたのでした。
ひさしぶりに司馬遼太郎ワールドに引き込まれました。
こんなに読みやすく読ませるのに、
その背骨には折れぬ史実がしっかりあるというところに感服します。
「司馬氏が新しい作品にとりかかると神田の古本屋から本がなくなる」
といわれたほどに史実を調査しまくる人だったそうです。
いったい、本人の頭の中は何千何万の引き出しがあったことでしょう。
データベースの鬼だったかと思いきや、
それを自在に開け閉めして、変化自在にあやつる文才がある。
「ああ、すごい!」の一言。
なんだかんだ、やっぱり幕末は面白い。
読書の秋。