イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

母を見送る

小さくも可憐に咲いていた一輪の花が、

いちまいずつ、花びらを落とすようにして、

母はゆっくりと、一年かけて亡くなってゆきました。

ひつぎの中に、ピンクのガーベラを入れてあげながら、

ああ、母はピンク色のガーベラだったんだ、

としみじみ思いました。

かけられた真っ白いふとんのすそには、ふりふりのレースがついていて、

ああ、お母さんこういうの好きだったっけな~と思いだしていました。

よかったねお母さん、最後の最後で、真っ白いふりふりレースだね、

そう思いながら花をいくつも入れました。

 

母は、息子ばかり産まれるもんで、

赤ちゃんの彼らの髪を伸ばさせて、

ふりふりのレースのついた服を着させていたそうです。

女の子が欲しかったんだとか。

その反動か、息子二人はトンデモない男気の強い子たちに育っちゃいましたが。。。

いつだったか結婚前、大学の夏休みに高萩の実家へ遊びに行った時のこと。

お母さんが板チョコがすきだというので、

お土産に板チョコを持って行って手渡すと私の顔を見ながら

「コレけ?」

と言って右手で丸いドアノブを回すような仕草をしたので

私がハテナ?と思っていると、

隣にいた父ちゃん(当時はまだ彼氏でしたが)が、

「何言ってんだ、パチンコじゃねーよ!」

と一蹴したので私は驚きとともに爆笑しました。

不良の息子二人を育て、お父さんもパチンコがすきだったそうで

家の中に男子カラーが蔓延していたお母さんにとっては、

板チョコはパチンコで”出た”証拠だったんでしょうね~。

 

女の子が欲しかったお母さんには、

私はヨメではあったけど、

かわいがってもらいました。

 

昨日は、小さな小さな家族葬でした。

ごく本当の身内だけで、連れ合いである父、

あとは、お母さんの実弟夫妻(つまり夫の叔父叔母ですね)、そしてわが家6人。

ゆっくり静かなお別れでした。

少しして斎場に、ふらりと、紺と白の大柄なパネルボーダーのTシャツと半ズボン、

ハイキング帰りのようなカーキ色のハットをかぶって、

大きなリュックを背負ったサングラスの男の人がやってきました。

は?

すごい場違いな服装だな、

と思って遠目に見ていたらどんどん私たちのほうへ歩いてくるので

???

と思っていたら、

なんと、それは母の訃報に東京から駆けつけた兄!!!

うおおおお!!まさか会えると思わなかった!!と夫も私も驚き、

これまた斎場には場違いな歓喜の声で出迎え思わず握手しました。

 

兄は若い頃に悪の限りを尽くして、親を泣かせまくった子だったようです。

小さい頃のかわいいとは言い難いいたずらから始まり、

大きくなってからはいろいろと警察にとっ捕まったりしたそうで、

相当に暴れん坊だったようですが、

そういう彼のことをお母さんはいつかこう言っていました。

「K(つまりうちの夫)には悪いけど、T(兄)のほうが手がかかったから結局Tのことはいつまでも気がかりな分かわいい。」

なるほどねー手のかかる子ほどかわいいっていうのは本当なのかねー。

そんなTくん、私と同じ年齢で4月生まれ。

約8年ぶりに会った彼はすっかりいい大人になっていました。

 

思いがけなく兄と再会できたうちの父ちゃんもとっても嬉しかったようで、

もちろん兄のほうも弟と再会できて喜んでいました。

8年前会ったときはまだわが家も一人しか子どもがいなかったのですが、

あれから8年。

兄の家にも、男の子と女の子が一人ずついるそうで、

子どもいっぱいいるな~と言って昨日はうちの子どもたちをそれぞれ、

とっても可愛がってくれました。

初めて会うオモロい伯父さんに子どもたち大喜び。

ちゅーたんを見て「あらら、ちっさいころのおめえソックリじゃねえ?!」と。

父ちゃんよく、ちゅーたんは小さい頃のオレとそっくりと自分で言っていたけど、

兄ちゃんまでそういうんじゃ本当ですね。

斎場をあとにして墓地に納骨したあと家族で昼食に出かけました。

遠慮して安いものしか頼まないうちの夫にくらべ、

兄は父親のサイフだからという頭から、

一瞬のためらいもなく鰻の蒲焼と馬刺しを注文(笑)

「やっぱ一皿1200円の馬刺しは違うね!!うめ~~よ!」

「あ、おねーさん!ウーロン杯ひとつ!」

普段、力仕事をしている兄は食べるし飲むしで、

遠慮なくどんどんオーダーを重ねる重ねる・・・。

そんな息子の様子を横目で見ていた義父が途中で慌てて支払いを締めてくる一幕もあり私は密かに大ウケ!

男ばかりが残った夫の実家。

女子率、0%。いやはや(笑)。

 

せっかくなので、東京へ戻りながらこのまま一晩わが家へ泊まって兄弟で飲もうよという話になったのですが、

都合がつかなくて、残念ながら兄は県北から電車で東京へ直接戻っていきました。

「リアルにこんど、家族みんなでそっち行くから泊めて!」

と嬉しそうに手を振ってくれました。

東京は公園も全然遊べなくて、ボール遊びはタブー、

子どもだけで外を歩かせていると、不審者が危ないからと警察から親が注意されるそうです。

「庭があるなんてマジうらやましい!!カブトムシなんてなー懐かしいなー」

と言っていました。

 

昨日の主役は前半はお母さん、

そして後半の兄登場からはその座は兄へ。

 

お母さん、息子二人産んで育てて、ホント大変だったね!

でもみんな、頼もしい息子になってくれて良かったね!!

ありがとう、お母さん!!ありがと~~~!!