イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

父ちゃんはびびらない

昨夕、夫の実家のじーちゃんから

「母ちゃん(ばーちゃん)が、もしかしたらよくない病気かもしれない」

との電話あり。

父さんはうん、うん、と短い相槌を打ちながら

「検査結果がわかったらおしえて。あわてても仕方ないしさ。」

と。

普段、案外とクールなじいちゃんがけっこうな狼狽ぶりだったとのこと。

 

電話を切った後、落ち込むかと思いきや、

うちの父さん訥々と話し始めました。

 

こういうもんは、仕方がないんだよ。

もともと、誰だってこの世からいなくなることに決まってんだ。

人生には、終わりはぜったいあるだろ。

まあ今回のことはよ、大丈夫なんじゃねえか、と思う気持ち半分、

だめだったらだめでしょーがねえ、と思う気持ち半分。

だいたい、本人がよ、そーだったらどうしよう、

病気治りたいなんつってこっちの世界に未練ありありだったらまあ、

おれも複雑な気分にもなるけど。

もともと、神様を心から信じ込んでるあの人にとっちゃ、

あっちの世界に行く方が、こっちの世界よりずっと幸せだって思って、

この何十年も生きてきたんだから。

泣くのは一瞬だよ。

 

***

お義母さんは熱心な宗教信者。

その他の家族はぜんぜん信仰心なんかないのですが(私もない)、

とにかくお義母さんだけは神様を心から信じています。

息子は、母ちゃんのことをよーくわかってる。

とくに、うちの父さんは、

ほんとに、母ちゃんのこと、しっかりわかって、

母ちゃんのこと、大好きだけど、

それでも、もしものときのことは、

冷静に見つめられる。

これはすごいことだな、と思いました。

 

私は話を聞きながら思いだしていました。

結婚する前、実家へ遊びに行った時のこと。

お義父さんがその日夜勤でいなかったので、

お義母さんと、父ちゃん(当時はまだ結婚してなかったけど)と私と3人で夕飯しながらお酒を飲んでいました。

お義母さんは

「アタシが死んだらね、花火あげてみんなで万歳してくれたらいいよ。」

なんの気負いもない表情で、

本心からそう思っている、とそんなふうに言いました。

 

私はしんからびっくりしたけど、

信仰ってそういうもんなのかしら・・・

と言葉が出なかった思い出。

 

昨日の電話のあと、

ずっと、考えているけど・・・・

私にはわからないことがいっぱいあって、

お義母さんの気持ちを聞きたいような、

そんな野暮なことしなくてもいいような。

 

昨晩はいろいろ思いながら布団に入った私。

父さん、さすがに今夜は眠れないのでは?

と思って様子をうかがうと、

布団に入って1分も経たないうちにいびきをかいて寝始めました・・・・。

すごい。

父さん、ほんとの意味ですごいわ。

見上げた思いで、いびきを聞いたのでした。