イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

伝えるちから

ご新規さまからお電話。

ん?話がよく伝わっていないな・・・お年寄りかな??

と相手の言葉に注意深く耳を傾けたら、

外国後のイントネーションが混じっていることに気が付きました。

おや、外国人の女性のお客様です。

どうやらうちのチラシが入っていたとのこと。

自宅のハナミズキを剪定してとのリクエスト。

コミュニケーションがちょっと難しかったので、

うちの父ちゃん、無事に仕事できるかな~と一抹の不安は感じたものの、

ひとまず見積もりに行くことになりました。

 

翌日、父ちゃんが一人で見積もりに行ってみると、

大きくなりすぎたハナミズキの幹を長さ半分あたりでぶった切って、

そこから新しい芽を吹かせたいからバッサリ切ってくれとのこと。

父ちゃんは慌てました。

ハナミズキは弱いので、そこから切ったら新しい芽は出ないこと、

小さくしたいというなら枝だけギリギリのところで切るけれど、

それでも、枯れるかもしれないし、翌年の花は咲かないかもしれないこと。

するとお客さんは、

「枯れるはダメ!」

と。

そうでしょうねえ。

 

というわけで、父ちゃんが思う良い状態と、

お客さんがしているリクエストがかみ合わず。

しかも、値段を提示すると

「ウソつかないで!」

といきなり言われたとのこと(笑)

帰宅して父ちゃんはちょっと悩んでしまいました。

父ちゃんなりに無事に仕事ができたところで、

納得してくれないかもしれない、という不安。

主張の強さと語気の剣幕に圧されてしまい、

気が滅入ったとのこと。

なるほどそうか。

まあ、日本人ほど主張が弱い人種もないだろうと私は常々思っているので、

伝える力をぶつけ合うことは日常的にほとんどありませんからね。

 

 

私は、外国語はほとんどできません。

でも、外国の人と話をするのはすご~く得意です。

ひげもじゃのパキスタンのおじさんやら、

オカマのフィリピンのおねえちゃんやら、

居酒屋経営のタイのママやら、

とにかく、誰とでも仲良くなれます。

郵便局の窓口時代に、仲良くなった外国人は数知れず。

外国人を見たらとりあえず**ちゃん(旧姓)を呼べ、

と言われていました(笑)

 

「伝えよう」、「話を聞こう」、

そういう気持ちがあれば、

ぜったいに伝えあえるものなんですよ。

言語は、なんとなくでも充分。

完全に100%の理解はできないかもしれないけど、

それは、日本人とて同じことです。

言葉だけのコミュニケーションだけで、

100%を伝えることは無理。

それに私は、相手が日本の国になんぼ慣れた様子であったとしても、

異国で暮らすことの大変さ、

それを想像したら、なんだか頭が下がる気持ちになってきます。

 

話は戻ります。

父ちゃんは私に、

「今日の見積もりのお客さんに、もう一度説明してほしいから明日以降電話かけてくれないかな。

 自信ないからできれば断ってほしい・・・」

と言ってきました。

ちなみに、父さんとしてはどこが一番気になるの?

と聞いてみたところ、

「剪定している最中に、もっともっと枝を詰めてほしい、とあの剣幕で言われたら困るよ。

 それに、仕上がりが違ったからお金払わない、と言われても困る。

 枯れたときに、弁償してよ、と言われてもいやだ」

とのこと。

わかった。じゃあ伝えてみよう!

今日になって、電話をかけました。

電話に出たお客さんは、

「ああ!!昨日来たよ、アンタ、お父さんが行くって言ってたじゃん!

 アンタ、どういう親子関係?!とっても若かったよ!!」

と言われ、私は大爆笑(笑)

「”お父さん”だけど、旦那さんね、パパよ、パパ」

と説明したら

「はああー、そうかよー!!」

ですって(笑)

元気いっぱいです。

 

私は、ゆっくりと言葉を選びながら、次のことを伝えました。

ハナミズキ外来種で(外来種の説明もした)、ちょっとナーバスなこと、

だから「もっとカット!」のリクエストをしないでほしい、

良いコンディションにするカットはうちのパパはできるけど、

樹の命が弱くなるようなカットはパパはぜったいにしたくない。

カットした樹が枯れるのは、植木屋さんは一番プライドが傷つくこと、

もし、うちのパパが真面目な仕事をして、

あなたの思った通りにならなかったとき、あなたはクレームを言いますか?

クレームを言うとしたら、とても悲しい気持ちになります。

クレームを言うとしたら、仕事はできません。

値段は嘘をついていないので、「もっと安く!!」と言わないでほしいです。

 

 

私は相手の話を間にたくさん聞きながら、

ゆっくり、丁寧にこちらの話を伝えました。

お客さんはときどき私のことを「アンタ!アンタ!」と連呼するので私は苦笑い。

どこかで覚えてしまったのでしょうねー。

誰が「アンタ!」って言葉を彼女に最初に教えたのかなあ~と思いながら(笑)

「アンタ!昨日その場にいなかったのに、今日アンタが電話かけてきておかしいでしょ!」

と語気も荒く言われたので面食らいましたが、

気を取り直し

「そうですね、私は昨日は行かなかった。

 だけど、パパが帰ってきて悩みました。

 **さん(お客さん)にわかってもらえたかどうか、

 嘘ついてない値段だって、思ってくれているかがわからない、って。

 だからママが電話して**さんと話してくれる?って私に言ったの。」

すると

「アハハハ!! そんなに気の弱いオトコに見えなかったヨ~~~!!わかったよー」

と陽気な返答が(笑)

なんだかなあ~。。。

 

一事が万事こんなやりとりでしたが、

どうにかこうにかこちらの言い分と、

向こうの言い分がちゃんと伝わり合った感じがお互いにあり、

お客さんのほうから

「じゃ、ワタシは考えるね。時間ください。今は、カットしない。」

と言ってきました。

 

伝える労力としては、振り返ると測り知れないものがありましたが(笑)

心を平らな状態にして、

どこにもフィルターをかけないで

つまり、相手が外国の人だから伝わらないかもしれない、という思い込みのない状態で、

さらに、たとえ罵倒されても、そこでやり取りをシャットダウンしないという寛容な気持ちを持って

最大限の親切心と、ブレなさを持って相手と主張をやり取りすること。

 

終えてみたらすっげー楽しかったです!

これだから、外国の人とのやりとりは面白いんだよな~。

 

伝えるちから。

それは、外国の人とのやりとりに限ったことじゃないですよね。

主張する力。聞く力。

私ももっと磨きたいと思った出来事でした。