イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

読書

中学時代の恩師から郵便が送られてきて、

「つい最近購入した本だけれど、

 自分で読んでみて、あなたにぴったりの本だと思い送りつけました。

 時間のあるときに読んでみてください。返却はいつでもかまいません」

というような添え状もついていました。

本は、「神様たちの遊ぶ庭」(宮下奈都著)。

北海道のトムラウシという道央にある集落に、山村留学した一家の一年間の記録です。

 

作家である宮下家のお母さんの視点からかかれた日記のような内容で、

読みやすさと面白さで一気に読み上げてしまいました。

 

福井の町で暮らしていた一家が、

突然に山村留学することになり、

ごく普通だった子どもたちが、自分の力でどんどん成長する様子が描かれています。

 

それにしても魅力的だったのは、

山の学校(全校生徒、小中合わせて10人程度)の授業が、

ほとんど、ありえない時間割だということ。

1~4時間目までぶっ通しで家庭科で、

クレープを作ってお昼にみんなにふるまう、だとか

一日中渓流釣り、とか、

一日中スキー、とか。

もちろん、その合間にごく普通の算数や国語もあるんですが、

その、”ごく普通の授業”も、先生1に対して児童は3人とかなので(複式学級)、

どの子がどのくらい理解しているか確認する必要がまったくないそうです。

時間のゆとりさえあれば、どの授業もかないそうなものばかり。

(もちろん、スキーするにゃ環境がひつようですが)

普通の学校の時間割ってのはいったいなんなんだろう・・・と首をかしげる宮下母さんの気持ちに、読みながらほんとに同感(笑)。

 

まわりの大人たちがとても魅力的で、

大人と子供の垣根がまったくなくて、

お互いにとっても大好きで、大切で、

一生懸命。

 

素敵な本でした。

機会があれば、ぜひどうぞ読んでみてください。

 

私は、長男が小学校に入学するにあたり、

じつは私のほうが不安に思うことが多いのが本音です。

集団生活はいやだとたった3歳で自分で宣言して5歳まで家にいた長男。

もちろん、今は保育園大好きっこで、

親から離れてはるばる豊洲まで遠足に行けるまでに成長し、

日々の園生活も、行事も、ちゃーんと人並みにこなして、

保育園の先生からは「しっかりものです!頼りにしてます!!」と太鼓判の彼。

 

家では超暴れん坊の彼でありますが、

集団生活の中ではやさしくて繊細、慎重な面が全面に出ているのも事実。

「学校」という場所は、間違いなく保育園とは違うわけで、

ある種のレールに乗っからなくてはいけない時が来た、という感じに、

私自身が戸惑いを感じます。

 

保育園の先生がたが、ほんとうにみなさんハートフルで、

愛情たっぷり、ゆったり子どもと接してくれていたのがわかるだけに、

学校へ行ったら、いったい先生ってのはどうなんだろう・・・

と母の私がビビってしまいます。

もちろん、社会に出たらどんな理不尽な相手とも付き合わなくちゃいけないし、

良くも悪くも自分の理解の範疇をはるかに超えた人物とも出会うのは必須。

悩みも葛藤も本人の成長のためにぜったい必要なのはわかっているけど・・・

 

これが、ごく普通の「親の心配」ってやつなんでしょうかね、たぶんそうなんでしょうね。

さらにいえば、子どもはもっと順応性が高くて、

きっと、あっという間に学校生活になじんでしまうんでしょうねえ。

 

 

京都へいたときに、半年間だけ、

森のようちえんそとっこの仲間に入れてもらい、

遊ばせてもらいました。

 

泣いたり怒ったり、

泥どろになって遊んだり、

とっくみあいのケンカしたり、

全身全霊でエネルギーのかたまりそのもので楽しむそとっこの子どもたちを目の当たりにして、

子どもっていう存在そのものがこんなに可愛かったのか、

と、くらくらするような思いで見つめた、そとっこはじめての日を思い出します。

 

当時4歳だった長男は今でもそとっこの記憶が濃く残っているようで、

ほんとうにたのしかったな~と、ときどきウットリと話してくれます。

そんな長男の言葉を聞いていて思ったのが、

「しあわせな子ども時代を過ごしてほしいなあ」、ということ。

今、自分の子どもたちにはそれをつねづね感じています。

”立派な人”だなんて、どこにもいない、

常に、自分は自分であってほしいし、

はからずも降りかかったかなしいこと、つらいこと、到底太刀打ちできそうにない大変なこと、

そういうものに、ぜんぶ傷ついて涙が出ても、

きっと生き続けて立ち直ってほしい、

そんなふうに思っています。

しあわせな子ども時代の功名は、そこなんじゃないかな、と。

本人はきっと気付くことがなくても、

”しあわせな子ども時代”はたぶんそんな場面で、

傷を治すくすりになってくれるに違いない、

そんなふうに私はこのごろ、つよく信じています。

 

山村留学しなくても、じゅうぶん農村留学状態の地元の小学校(笑)

新入生はたった25人。

恩師から、本といっしょに長男あて、

名入り鉛筆のプレゼントがありました。

自分の名前がぜんぶに書いてある!!!

と嬉しさに踊る長男。

「チョーもったいない!」から入学式まで、削らないそうです(笑)。

トムラウシ小学校には到底かなわないけど、

すてきな学校生活だといいな~!