イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

根っこを生やす

昨日の夕方5時40分頃、玄関のチャイムが鳴りました。

出てみると、うちのすぐ裏の家の奥さん。

「急なんだけどね、町内で訃報があって。

 私も今聞いたとこで、慌てて来たのだけど。

 6時に、お悔やみのあいさつに、班内の人(5軒ある)たちみんなで、

 ご自宅に弔問に行くのだけれど、すみれちゃんちは、出られるかしら?

 15分後だなんて急だし、お子さんもいるし、大丈夫かしら・・・?」

 

ちょうどサムライくんが休日で家にいたので、

行ってもらうことにしました。

連絡に来てくれたその奥さんも喪服でなかったので確認したところ、

この、自宅への弔問は平服でいいそう。

ちなみに、香典のようなものも不要。

 

こういうことは、地域地域で違うもので、

すぐとなりの町内の私の実家では、

この弔問を「お見舞い」と言い、

お金も包みます。

それがなんと驚いたことに、

赤いのしで包むのです。

祝儀袋に「御見舞」と書き、持参します。

これを用意するたびに、

突然のことなので、不祝儀袋は用意できなかった、という意味なのかな~

と昔から母と話すのですが、

亡くなったと知っていて赤の袋に包むのですから驚きの風習ですよね。

 

訃報だというので、私が今住んでいる地域でも御見舞を包むのかと思っていたら、

ここはその習わしはありませんでした。

 

弔問から帰ったサムライくんが、

通夜と告別式のどちらかに出席したらいい、

ちなみに香典は3000円と組内で決まっているそうだ、と言いました。

亡くなったのは、93歳のおばあさん。

 

サムライくんは、地域づきあいをほとんどしない家庭で育ち、

しかも親の故郷が遠方だったため親戚づきあいもほとんどなかったため、

こうして、近所に弔問に行くということも初めてのこと。

(なので、いざ通夜に行くにも礼服がない、ということに気付きました・・・!)

 

夕飯のしたくをしながら、帰宅したサムライくんと台所で話しました。

「近所の人たちとさ、歩きながらそこの家まで行ったんだよ。

 そしたらみんながさ、

 組に入ったばっかなのに、すまないねえってオレに言うんだよ。

 若いから、こういうの(近所付き合いのこと)ってちょっと大変でしょ?

 わるいねえ・・・って、謝るんだよな。

 お宅へ着いたらさ、町内会長がいて、

 ”わるいなあサムライくん、町内入ってもらったばっかなのにこうして来てもらって”って

 謝ってくれてさ。

 自分ちの訃報じゃないのに、みんな、”わるいねぇ、大変だよねえ”って。

 田舎って、やさしいな。

 なんかおれ、亡くなったおばあさんのことは全然知らないけど、

 みんながやさしいんで涙でそうになったわ。

 ここへ引っ越してきて良かったわ。」

 

なんだか、私のほうが胸がいっぱいになりました。

私の故郷へ住んでくれているサムライくん。

彼にとっては知らない人ばかりの土地で、

地域の行事にも参加して、

どんな人にもフレンドリー!

自分の夫ながら、ありがたい。

 

きっと、地域に根を生やして暮らしていくって、

こういうことなのでしょう。

今まで根なし草だったわが家、

まだまだ細い根ですが、のばし中。