イバラキ農村風呂

ゆっくりしてけ~

『読み解き 般若心経』

一昨日から、伊藤比呂美さんの「読み解き般若心経」という本を読み始め、

昨晩読み終わりました。

伊藤さんのこの本は般若心経を、小学生でもわかるような言葉に直して、

お経を「ひらく」作業を伊藤さんがしていく内容なんですけれど、

そこにエッセイも加わり、

両親の介護や、著者の3人の娘さんとのやり取りなんかがつづられています。

まさに「エッセイ+お経+現代語訳」という副題のとおり。

 

般若心経って超わけわかんない漢字ばっかりですが、

米国在住で英語が自在な伊藤さんが入ると、

「色(しき)」はvisual(視覚的)よりpresentarion(表出)で、

「空(くう)」はemptu(からっぽ)じゃなくempty of meaning(いみがからっぽ)。

へえ~!

 

お経は「観自在菩薩・・・」から始まりますが、

これが詩人の伊藤さんの手にかかると、漢字の羅列の暗号世界が開かれます。

以下、本文から引用(新訳 般若心経)。

自由自在に 世界を 観ながら 人々とともに

歩んでいこう 道をもとめていこうとする かんのんが

深い ちえに よって ものを みつめる 修行の なかで

ある 考えに たどりついた。

わたしが いる。 もろもろの ものが ある。

それを かんじ

それを みとめ

それについて 考え

そして みきわめることで

わたしたちは わたしたちなので ある。・・・

 

とまあ、こんな具合なのですよ。

なんでしょう。料理人が変われば素材は同じでもこんなに違う味が出るのか、

というような。

これが、伊藤さんがお寺の娘に生まれて、とか

特に信心深くて昔から仏教の勉強をしていて・・・・

とかじゃなくて、

50歳を過ぎてから、自分の親が死にかけてきて、

それで、自分ちの宗派がわからないから、とりあえず宗派を調べて、

そのついでにお経CDつきの本も買って・・・

とやってみたら、「うわお!!!仏教って深ッ!!でも意味わかんね!」

あ、そうかわかんないなら自分で訳してみちゃおう、

という経緯だから面白い。

 

ちなみに私自身は、まったく信心深くない人間です。

でも、こういうものを読むと、理解できる部分はあるのでしみついての仏教観はあるのだなあとは思う。

さらに言えば、禅宗とくに道元の言ってることだけはかなり納得できる。

空海弘法大師)の書のうまさにもほんとにいつも感銘を受け、

超リスペクトしてます。

 

『たどたどしく声に出してよむ歎異抄

という伊藤さんの本も図書館で借りてきたので、

こちらも読んでみます。

ただ、極楽浄土があるとはまったく思いませんが。

 世間では『歎異抄をひらく』が地味に売れているらしいですね。

(新聞の本の広告によく入ってくる。

 かの司馬遼太郎歎異抄を読んで、無人島に持っていくならコレといったとか?)

世の中がこんなだからこそ、より、こういうものが色濃くなるのかも。